Rei Suzuki
鈴木 励 (Rei Suzuki)   

電気通信大学 電子工学専攻 上野研究室 博士前期課程2年

新卒研生へのメッセージ 2006年2月21日
上野研の紹介
私が研究配属された時(2003年)、上野研はまだ2年目の新しい研究室でした。その頃は、まだオフィスに前の研究室の荷物が散らかっており足の踏み場も無かった状態でした。配属して最初の仕事が荷物の廃棄と壁のペンキ塗りであったことが昨日のように思い出されます。あれから3年の月日が流れ、壁も真っ白に塗られ、広々としたオフィスとなり立派な研究室になったと思います。さて、上野研究室は、バリバリ研究してどんどん学会発表をしていこうという研究室です。それらは、時にプレッシャーになることもありますが、後から考えると良い経験になると思います。私の場合も、半年に1度のペースで学会発表しましたが、その度ごとに、どういった予稿を作るのか、スライドをどう作ろうか、どういった順序で発表しようか、といったことを考えさせられました。これらのことを通じて、物事を整理する能力や正確に伝える技術などが磨かれていった気がします。上野研は、それらのコミュニケーション能力を磨くのにも良い研究室だと思います。

経験談
私は上野研で卒研でプログラムを自作しそれを使って理論解析を行う研究、修士研究でパルス発生器という物を作る実験研究、の2種類の研究を行いました。卒研の理論解析は研究室に初めからあったプログラムに自分が研究する部分のサブルーチンを加えて研究するというものでした。卒研で作ったプログラムは、小さなプログラムでしたが、当初プログラム経験の無かった私は非常に苦労しました。しかしそのおかげで、簡単なプログラムなら作れるようになりました。修士研究の実験研究は、光通信用の超高速光クロックパルスを発生させるパルス発生器を作るというものでした。実験研究はシュミレータの計算に比べリアリティが格段にあり、良い物を作っているという実感が湧いてくることが良い点だと思います。それら2つの研究を通して、私は、研究は創意工夫・試行錯誤をすることにより、自分の力で物事の解析や性能の改善ができる点が面白いと感じました。私は小中高大と計15年間も勉強してきましたが、あまり勉強したことを使って何か作れたということが無かった気がします。しかし、研究では、自分が仕入れた情報をうまく使って実際に役に立てることができます。そして、自分でプログラムを動かしたり、物を組み立て動作させたり、といったことで得た体験と勉強で得た知識が自分の頭で混ぜ合わされると、良いアイディアが生まれて、楽しい研究ができると思います。

アドバイス
研究はなかなか自分の思い通りにならなくて、気分が落ち込むことがよくあります。私の場合も卒研では、ゲート出力計算結果と近似モデル計算結果がうまく一致しない、とか、修士研究ではパルス発生器なのにパルスが出てこない、などの壁に当りました。そういったときは本当にこの世の終わりがきた気分になり、いつ上野研から逃げ出そうとか考えていた気がします。しかし、結局は、うまくできました。このコツは、今までのやり方から脱却し、別のアプローチを試してみることだと思います。例えば、卒研では、ゲート出力計算結果には2つの原因があり、その内1つの原因を正確に近似することだけを考えて近似モデルを作成してうまくいかなかったのですが、もう一つのほうも近似したらうまくいきました。また、修士研究では、パルス発生器の動作条件だけを変えていたら、うまくいきませんでしたが、内部の構造を少し変えたら、あっさりとパルスが発生しました。これらを踏まえて、私からの新卒研生へのアドバイスは、壁にあたっても結局何とかなるさ、ということと、困難にあたったら別のことを試してみろ、ということです。