研究紹介
Last updated: Dec. 28, 2005
研究紹介
Research activity
超高速SMZ-DISC型全光ゲート (SMZ-DISC型光信号波長変換)
- 目的、目標
- デジタル光信号Aで光信号B(ここでは連続光)を"デジタル信号処理"する際の光ゲート速度の限界(⇒信号ビットレート限界)やゲート動作効率の理論限界を探る。
- SMZ-DISC型全光ゲート方式(図1)は、毎秒160Gビット級の光デジタル信号処理(ビット誤り率<10-9、2001年〜)が実験実証されている世界で唯一の半導体ゲート方式である。
- 現在の第1研究目標は、160Gビット級の超高速動作に伴って発生すると思われる出力波形歪や信号パターン誘起雑音の発生メカニズムを解明し、理論モデルを築き、第2世代のゲート構造を生み出すこと。この研究を契機として、さらに毎秒400Gビット超の未踏領域に挑戦できるだろうと期待している。
- DISC型全光ゲートの第1の応用目標は、光信号波長変換である。第2・第3の応用目標として、偏光変換や光2R再生などの全光機能も期待されている。
- DISC型光ゲートの特徴と長所
- 毎秒100Gビットを超える光信号処理研究では、(1) 入力信号発生方法、(2) 光ゲートデバイス試作、(3) 出力信号測定方法のそれぞれが容易ではなく、研究開発段階の各種最新実験技術を組み合わせた研究活動が必要不可欠であり、研究上の負担が大きい。
- DISC型光ゲートの構造は、幸い、超高速半導体全光ゲートの中で最も単純かつ基本的な構造(図1、1998年)である。従って、基本的な動作メカニズムや限界性能の研究に最も適したゲート方式と考えられる。DISCゲート研究で獲得する個々の成果はさらに、他の類似方式や他の機能へと水平展開可能と期待される。
- 関連する主な共同研究と研究プログラム
- 国際共同研究: Technical University of Denmark, Research Center COM
- 産学連携共同研究: KDDI研究所、光信号処理グループ
- 文科省科研費基盤研究
- その外の協力企業・機関
- NEC研究所、Pritel Inc、オプトクエスト、産業技術総合研究所 計測標準研究部門、アンリツ 光計測器部門、沖電気研究所、フジクラ 情報通信部門
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- 最近の研究成果
- 超高速なDISCゲート動作に伴って派生する波形歪を世界で初めて実験的に検出し、以前提起した歪発生モデルの妥当性検証に成功した。図2に示すように、主パルスの間の谷間(間隔100ピコ秒)に残留するサブパルス波形の測定結果(図2の下段)が、モデル計算結果(上段)と良く一致した。
- 比較的高い時間分解能(2ピコ秒)とダイナミックレンジ(103)を同時に備える相互相関波形計測技術を駆使し、出力波形のMZ干渉位相バイアス依存性を丁寧に解析して達成した研究成果である。
- なお、2001年から現在までの最高速ゲート動作実証実験では、もう1つの未知な非線形光学作用が出力波形歪を"不完全に"緩和していると考えられる。以上を踏まえた第2世代ゲート設計を目指し、状況証拠段階にある未知作用の研究を開始した。